2019年09月01日

作者一覧を発表いたします。

「令和最初のかりんネット歌会」
 橘 まゆ   瑠璃いろに光る骨壷ネットにて買いもとめたり雲低き日に
 円藤ひとみ  夢に来し母とハグする器のみの空洞なりき目覚めれば雨 
 金井省二   魯山人の器の底に「ロ」の字あり鋭き美意識支える礎石 
 岩本幸久   蝉の身は小さな楽器ひたすらに生きていますと生きていますと 
 宮崎 浩   永遠にわかれし人の微笑みが夢にでてきた 器のわたし 
 岩崎公一   黒電話の受話器に告げたフルネーム オレオレなんて言えないきみに 
 岡 公一   氷面鏡池を器に張りつめてしずやかな朝茜にそまる
 幸原千明   十八歳(じゆうはち)を入れる器の校舎翳り溢れる子漏れる子もあり 水無月
 梅原秀敏   絶望は手のひらの器溢すまいと思えどこぼれるため息ばかり
 細井誠治   どんぶりを飲み干して底に双喜紋めでたくもあり今宵の〆は
 コ力聖也   合わせたる楽器の音の正確さ自閉の人らが弾ける「嵐」は 
 北辺史郎   子どもらの電話番号書き貼りし人たちいまは去りたる器 
 江國 梓   さみしさを洗わぬままに亡き母の茶碗をわれの水底に置く
 東 洋子   葦舟は希望のうつわ海原へ流してヲミナは また、汝を産む
 平山繁美   出産は病気ではなし 病生む・命を落とす器にもなる
 横田博行   見も知らぬ港の絵皿カルパッチョ盛れば懐かし磯の香の満つ 
 五十嵐満   野菜かご竹竿の先にくくられて舟より渡りぬ愛生園に
 愛川弘文   ひたぶるに見えざるものに挑むごと紅葉の谿(たに)へ土器(かわらけ)を投ぐ
 吉岡健児   潰れさうな心のうちの果実盛る器みつかる異国の市に 
 小柳 砂   「鰯」「鯛」覚えた頃の祖父の指魚の名刻む黒き湯呑みに
 辻田裕美   シェルフィッシュひっそり砂を吐く夏の無国籍料理店のキッチン
 森田鞠子   刺身鉢天皿蓋物と贅尽くす人 ひとつの皿に犬は尾をふる
 光野律子   税官吏の眼差しもちて飼い猫は箱の届くを戸口に待ちおり 
 若槻真美子  暑いねとつぶやきながらゆでガエル曜変天目茶碗の中で
 大澤 眞   くやしければ消しゴム刻みしボンナイフ凶器のてざわりもち筆箱に
 夏目たかし  病棟に「スモールワールド」の曲流れ児らは食器を持ちて並べり
 中村暢夫   白色の紙だと見にくい「障害」に善意が集まる商品も出る
 山下騰子   マドリード物乞ふ人の目は虚ろ紙コップ持ち前に突き出す
 喜多紘子   薪能闇焦がしつつかがり火の器もろともシテの妬心は
 遠藤由季   葡萄食む神の指先降りてくるカスピ海なるフィンガーボウルに
 東山研司   皿と皿単身赴任のキッチンにかちりと鳴りしのちのしずけさ
 菊地 陽   大きな実小さな実ありかりんの実器に盛ればまた芳しく
 檜垣実生   セクシーな海星を食べる天草の五月の海が器となりぬ
 菊田知和   知らぬ間に母の茶簞笥溢れ出すよくもこんなに集めた器
 遠 音    ちさき手にむすびし田水ぴちぽこと光の跳ねて波うつ家路
 山田洋子   両の掌で食む孫の顔嬉々として大皿にいどむ動画届きぬ

歌会ご参加(出詠・コメント・観覧)の皆様 ありがとうございました。
次のネット歌会につきましては編集委員会で検討し、秋にご案内いたします。現在の記事はあと一月ほど公開いたします。

posted by かりんネット歌会 at 09:32| 作者・詠草一覧