「かりんネット歌会2022 vol.12」
嶌菜穂子 蒼白き心星めがけ漆黒の天の軸もて大回転す
今井正博 囲碁の会勝ったり負けたり五分の星これが最高気持ちよい疲れ
東 洋子 凍て空に星ひとつひとつ数う夜とおきこの世のとおき名を呼ぶ
コ力聖也 宇宙にてあれば金星 きんぼしと読み替えられて人は歓喜す
日高雅彦 往復に三年かかる火星には行きたくないと飛行士語る
中村暢夫 お客様からの奢りに身体をはり酒を過ごせば傾ぐ三つ星
若槻真美子 喝采へ手のひらを返す晩秋を満天星(どうだんつつじ)まつ赤にもえて
福島隆史 かの星のぶれざることの尊ければわが北極星はいづこにありや
蚫谷定幸 かみの世の翼竜なりしわれもゐて大き星墜つる昨夜(きぞ)の幻
檜垣実生 再発は無いよと自分に言い聞かす 海星の腕が再生をして
橘 まゆ ざむざむと胸に凍て星生まるる日リクエストするヴィヴァルディの「春」
服部明日檜 終電が去れば駅の灯徐々に落ち星が浮かんで夜空賑わう
古川 郁 頭上に星降るほど清く訪うて叩けぬ門へと鳴るかさぐるま
松村由利子 そう熱くなるなと剽げる人のよう星取表に交じる「や」の字は
中山洋祐 流れ星だれにも逢わず傷つかずだれを愛するこの世の誰を
夏目たかし フルスイング打球の先に目をやれば宵の明星瞬きてをり
鹿取未放 星の入ったのみものだから年寄りばかり住む村に置かれて
吉村享子 星マーク厭う老女よ機銃掃射の米兵の顔蘇りくると
池田竜男 星よりもはるかなひかり目の奥でダイオウイカがまばたきをする
梅原秀敏 またひとつ星を失くせしあやうさよ勇者は弱さも隠しもちたり
古河 惺 間違ひに気づいてしまひしまどろみのなか眼裏に宿る青星
東山研司 街ひとつとぎれて橋はしずかなり靴音ばかり星に聞かせる
田浦 将 満点の星に背を向けサーチする防犯カメラは地上の犯人(ホシ)を
山下騰子 三星の小さなホテルのリュック旅アイガー見上げひたすら歩く
大井 学 木星は冬の夜にあり揉めごとのまどぐち係のようにあかるく
横田博行 雪果てて星散り積もる聖し夜独り泣き出すストリートピアノ
遠音 指組みてさつとほどきし後に失すクッキー星を象りてをり
辻 聡之 惑星間協定結ばるる冬のあなたと露天風呂に浸かれば
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2023年1月のネット歌会につきましては、明日、ご案内いたします。
(現在の記事はあと一月ほど公開いたします)
2022年12月31日
作者一覧を発表いたします。
posted by かりんネット歌会 at 12:35| Comment(0)
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