2020年06月30日

作者一覧を発表いたします。

「かりんネット歌会2020 vol.4」

夏目たかし 朝寒く雨のそぼ降る月曜日新聞歌壇に我の名見えず
刀根卓代  明日往ぬか夜の窓辺に問ひたれど合歓の雄蕊は降りやまずあり
平井啓子  雨と降る夏蟬のこえ聞きながら父母と歩いた西日の比叡
光野律子  雨降らしは両性具有少しだけかなしくなりたる磯実習
西谷麗花  過ちのようなどしゃ降り 街を行くあの人もあの人も帰れない
中山洋祐  いくたびもひと降る岬かがやいて写真撮りたりときの切れ間に
コ力聖也  活けてより僅か三日の薔薇の花玄関先に降りつもるほど
モロクラタマラ 降りてゆく夢の坂道やわやわと かたちをもたぬいきもののくに
長山 弘  「降ります」と言いて動かす車イスそろりそろりと電車を降りる
竹村正一  オンライン面接うける新卒の身に降りかかる堕栗花(ついり)の寒さ
大井 学  から梅雨の雨降り地蔵の額の罅ゆうべやぶいた手紙のような
若槻真美子 今日だれと帰れるだらう揺れる児の帽子のみなと昇降口は
東 洋子  銀幕にイケメン降臨白妙のポップコーンは床に散らばる
辻 聡之  薬降る五月のそらの天気図を忘れてあおい傘の六月
森田鞠子  降りくる小学生の「こんにちは」しばしつづきぬわがために言ひ
貝澤駿一  降板のエースの肩をポンとたたくその一瞬の平行の影
久山倫代  この大き帳くぐれば何がある降車ボタンを関節で押す
石橋陽子  コンサート雨降る夜の帰り道ひとり歌いぬ住宅街に
碧野みちる さくらばな神経衰弱のごとく降り君もわれもこの日々のはらはら
遠音    参観の昇降口にとりどりの鉢植えを売る学年主任
はまだもも 閉ざされし本棚のうへ降りつもる時といふ名の雪淡くあり
遠藤由季  無きことにするほかあらぬやるせなさ廃墟へ絶え間なく雨は降り
山下騰子  西天狗雲行き悪く降り始む岩を下りるも四つ足になり
岡 公一  にわか雨降水帯は線状となりて被害をもたらし来りぬ
東山研司  陽と雨と降りまじる野のしずけさに狐はしらぬ家へ嫁ぎし
中村久美子 降る月を頼りに終えた芋畝に丸きわが影 母かと惑う
ヨコタヒロユキ 降れ降れと八代亜紀似の女将(ママ)の歌欲(ほ)りて惚れたか休業前夜
小松佳奈  ほたる棲む源兵衛川に雨降れば恋はひとまず休戦としよう
中村暢夫  ほんとうの6月6日に雨ざーざー降ってかわいいCちゃんのこと
江國 梓  前梅雨(まへづゆ)の昇降口で待つてゐた かの日とともに消えたり母校は
細井誠治  窓ぎはに降る陽のひかり豆苗ののび放題に伸びゆく不安
渡辺泰徳  末端は切り捨てられる心地して降べき順の数式は嫌(や)だ
橘 まゆ  守りたい約束と檸檬かごに入れGooglemapに無い駅で降りたい
日高雅彦  夕闇の狭庭の隅の白百合に降る月読の光幽けし
平山繁美  寄り添えず降りることさえ許されずただただグラスの水滴でいる

歌会ご参加(出詠・コメント・観覧)の皆様、ありがとうございました。
この記事にはコメント欄を設けますので、言い残したことや感想などにお使いください。
7月のネット歌会につきましては、明日、ご案内いたします。
(現在の記事はあと一月ほど公開いたします)
posted by かりんネット歌会 at 22:02| Comment(1) | 作者・詠草一覧

2020年05月31日

作者一覧を発表いたします。

「かりんネット歌会2020 vol.3」

平山繁美  好きですを「嫌いじゃないよ」に言い換えた口にささめく酒を含ます
東山研司  野の墓に酒のひとすじひかりつつ「比島ニテ戦死」の字に染みゆきぬ
幸原千明  アラ還のわたしの酒に警報を鳴らす膵臓 青嵐の候
渡辺泰徳  真珠採りのタンゴ降るよな青空に岩田師想い酒汲む蟄居
山田公子  オンライン出来ない私は祭壇に供へし酒を亡き夫と飲む
コ力聖也  三人がふたりになりても変わらずに夜々に呑む酒遺影を前に
小松佳奈  短所さえ概ね愛する亡き父の酒弱きだけは似たくなかった
日高雅彦  「酒だ、酒、酒持って来い」の声がまた世界で聞けるときもあるらむ
鹿取未放  珈琲もお酒も嫌ひカウンターの隅に独りの貌したいけど
夏目たかし 新しき酒は新しき革袋に我の胸には啄木歌集
松村由利子 酌み交わす佳きひとときも禁じられ剣呑という酒ありしこと
上石隆明  ぬるき酒浮かんだ氷のひとかけらシュと息ふく生きるがごとく
山下騰子  緑道の野蒜引きぬき義母浮かぶ今宵の麦酒辛み噛みしむ
橘 まゆ  スケジュールまっさらないま漬けておく伯母のレシピのさくらんぼ酒
森田鞠子  乾杯はいちご酒らしスカイプに君のマメさを饒舌を知る
大渕まこ  辛口の麻婆豆腐に杏露酒あはする四月最初の金曜
呉 肇樑  今日ひと日思いめぐらし葡萄酒を「ショパンピアノソナタ第2」聴きつつ
のばらなほ 人生が旅なら我は巡礼か 君くれしカードは葡萄酒の差し入れ
遠音    葡萄酒色の封筒の黒き宛名切手を貼らぬままに封をす
光野律子  ネイティブしか居ない延辺料理店君につがれた白酒(パイチュウ)飲み干す
泉 真帆  傘立にもらふつもりの店先の紹興老酒の空甕も忌む
若槻真美子 モーツァルトを聴いた日本酒聴かぬだらう「夜の女王」をたぎるダムラウ
石橋陽子  歌会あと下戸なる我は二次会に日本酒をふるイカの丸焼き
貝澤駿一  髭の教授が憲法を説き蒸留酒のふかき眠りの大講義室
島本千代子 訪ひし学友の父は一升酒どんと置きたり激議の卓に
ヨコタヒロユキ 情けないことに泣けないわたくしをほぐせ安酒螺(つぶ)の甘露煮
久山倫代  きまじめな定家に麦の旨酒を身は御笠より八百の歳月
平井啓子  待ち待ちて二時間たった瀬戸駅に深酒の夫ひょろり降り立つ
竹村正一  くれなゐのチェリーブランデー下戸のわれ死と闘ひし学寮の酒宴
長山 弘  缶ビールまずゴクゴクと飲み そして 最後は残るわたしの酒量
吉村享子  肝臓を病み禁酒せし叔父の墓大吟醸を提げて訪ねき
岡 公一  コロナ禍に赤提灯も変わり行き時短で営業下町酒場
刀根卓代  専売公社と造り酒屋の間(あひ)に建つ母校の午後は奇しき香の中
江國 梓  シャッター街の歌舞伎町をゆく新亀を教へてくれし居酒屋はどこ
梅原秀敏  あれほどに嫌いし父の晩酌を懐かしんでる酒呑みの血が
遠藤由季  車窓から眺めることの減りたれば酒盗のようにくる夕暮れは
中山洋祐  酒焼けの老女の笑顔にみな笑う今夜しずかな春の角打ち
大井 学  マフラーを渡しそびれてそのまんま酒田の駅にはるのゆき輝る
東 洋子  おういおうい、夜の山より呼ばうこえ酒吞童子はかなしきおとこ
辻 聡之  ほんとうにかなしいときにマンモスはよぎったろうか酒井法子を

歌会ご参加(出詠・コメント・観覧)の皆様、ありがとうございました。
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6月のネット歌会につきましては、明日、ご案内いたします。
(現在の記事はあと一月ほど公開いたします)
posted by かりんネット歌会 at 14:38| Comment(0) | 作者・詠草一覧