10〜12番の歌にコメントお願いします。
10 ザリザリと削る墓石回向院お金が貯まる?義賊御利益
11 さわらせてもらう義足と断端にパラアスリートのまろき靱あり
12 シベリアゆ還りし義父はふたとせの月日語らぬことで語りぬ
2025年12月18日
10〜12番
posted by かりんネット歌会 at 22:10| Comment(8)
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パラアスリートの運動能力にはいつも感心する。作中のアスリートさんは義足で、作中主体は義足と断端の靭帯にさわらせてもらった。丸みを帯びていたという。靭の強さと「まろき」と見る視線。その発見を敬意を込めて歌っているように感じる。
12 シベリアゆ還りし義父はふたとせの月日語らぬことで語りぬ
シベリア抑留を歌う、歌意が明快で読みとりやすい歌。二年間も厳寒の地で重労働に従事した義父。亡くなった人も多いと聞く。その経験を語らない義父、しかし、辛かったに違いないことは語らないという「沈黙」からうかがい知れるのだ。
下句の「語らぬことで語りぬ」には、言語に尽くし難い壮絶かつ悲惨な実体験が読みとれる。
ヴィトゲンシュタインの「語り得ぬものについては沈黙しなければならない」といふフレーズが、一瞬脳裏を過ぎりました。
シベリア抑留という大変な思いをされたお義父様
語らぬことで語りぬという表現でより大変さが伝わってきました
私の心の師である洋画家香月泰男は「シベリアシリーズ」という大きな仕事を世に遺されました。内地に無事に帰還出来たら必ず作品にするという執念は飯盒の蓋に文字を刻み。
過酷な抑留生活は「寒冷地獄」と呼ぶべきことも知りました。
戦争という惨い実態に、二度と起こしてはならない教訓を伝えているのですが、まだ世界は。
でも、私たちは想像することを止めてはいけないわけで、そういう点でも考えさせられた一首でした。
「回向院」は墨田区両国にある寺院で、鼠小僧の墓があるのだと知りました。そして、その墓石を削ってお守りにすると金運があがるのだそうで(すごい…)。この歌はその風習を詠んだものですが、作者がそれに対してどのように感じたのか、少しでも入れるとよいと思います。「回向院」と「義賊」のどちらかを割愛しても、読者は調べて辿り着くのではないでしょうか。
繰り返し歌われてきた題材で分かりやすい歌ですが、こういった歌はやはり歌える人が繰り返し歌うべき歌だと思いました。
情報がちょっと詰め込み過ぎで、記事の見出しのようになってしまっていると思いました。
「お金が貯まる?」とわざわざ疑問形にしているので、歌の主眼はこの削る行為への懐疑なのだと感じました。
省略できる語は省いて、「削る」ではなく「削られる」などとすれば、疑問視する気持ちがより鮮明になるかと思います。
11 さわらせてもらう義足と断端にパラアスリートのまろき靱あり
「断端」という言葉を初めて知りました、勉強になりました。
たまにテレビなどで断端を見かけると、どきりとしてしまうのですが、それだけに、その断端とそこへ取り付ける義足に触れ、その形にまで言及していることで、とても臨場感のある歌に仕上がっていると思います。哀れみではなく、義足で補うことで再び活躍できることへの感動。
12 シベリアゆ還りし義父はふたとせの月日語らぬことで語りぬ
下の句が簡潔にして雄弁です。
「ふたとせ」ののちについに語ったのではなく、おそらく、墓場へ持っていってしまったのでしょう。重い、二年間です。