「かりんネット歌会2025 vol.5」
1 口下手の声に淀んでいた思い口先上手く茶化されている 阿部の天気
2 茶臼岳顔面強打眼鏡飛ぶ脛の血ポタポタ三年前の恐怖忘れぬ 山下騰子
3 源平咲きの梅のかをりに涙して暗闇坂に茶蕎麦を啜る 橘 まゆ
4 子ら巣立ちふたり棲む家(や)も古びたり「そうね、そろそろお茶にしませう」 岩谷富紀子
5 弁当の茶色のおかずに駄々こねた友の目気にした苦い思い出 早川成美
6 かがやけるプチトマト姫降臨す茶色一色の弁当箱に あづま洋子
7 一匙の砂糖を足して溶かす朝甘い紅茶は受験子のために 槙 奈々帆
8 お揃ひの平たき茶碗に味ご飯山と盛らるるこども食堂 加古三津代
9 失敗も想定内さ珈琲を押したつもりもおーいお茶出て 梅原秀敏
10 お茶を飲みそっと振り向けば病窓から見える名も知らぬ花 平本文
11 短歌この不可思議なもの茶のように飲めて花より長持ちがして 市川多紀
12 二階から悲鳴聞こえて疾(と)く行けば茶翅の蟲は早や隠れしと 蚫谷定幸
13 タリーズでお茶したことが思い出の戸棚の中で眠っています 日高雅彦
14 レコードの傷の数か所覚えいる歌なめらかに茶房に流れ 吉村享子
15 「茶畑」は名残の地名盛岡の日当たりの良いドトール二階 田浦将
16 平らかな心に圏点うつごとく茶碗蒸しには銀杏ひとつ 若槻真美子
17 混雑に耐へて旅籠にたどり着けば山茶花の花浮かぶ湯のあり 夏目たかし
18 熱湯にゆつくりひらくジャスミンの花茶の香りに寄りかかる午後 まれよ
19 目の前のお茶をすいすい飲み干せり発言少なき今日の会議に コ力聖也
20 家中の湯呑みの茶渋こすりだす師の肺癌を知りし真夜中 佐々木泰三
21 曾祖父母の頃は茶色でありし戦 画面の向かうの臭はぬ空爆 遠音
22 国産の檸檬の皮と茶葉とお湯今日の水筒すこし贅沢 服部明日檜
23 雲南の霧の高地に葉を伸ばしプーアル茶の原種遥かに目覚める 中山洋祐
24 『ケリー・ブルー』流れる喫茶店にゐるカプチーノの泡消え失せるまで 吉岡健児
25 中国茶専門店の丸窓のかたちに繁る蔦のさみどり 辻聡之
歌会ご参加(出詠・コメント・観覧)の皆様、ありがとうございました。
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2025年6月のネット歌会につきましては、明日、ご案内いたします。
(現在の記事はあと一月ほど公開いたします)
2025年05月31日
作者一覧を発表いたします。
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