2018年02月13日

詠草一覧・作者発表

1  わが頬をやさしくなでてゆく君の赤毛のしっぽ思いだす朝   橘 まゆ  
2  後期高齢通知その(一)汝はもう奔馬のごとく生きてはならまじ   浅野 裕之  
3  めでたくももの言わず暮れ正月の独りぼっちの月は明るい   梅原 秀敏  
4  貧しさは富となるべし虚ろなる目を照らされる聖誕前夜   辻田 裕美  
5  「聖地」とか「巡礼」とか軽々と言っちゃうボクらのハッピークリスマス   東 洋子 
6  十か月経りきし父の退院日、今年最初の雨音をきく   安永 有希  
7  たあたたん落つる雫の音絶えず静かな静かな雪溶け始め   大石 友子  
8  耐えきれぬ 今のままでは耐えきれぬ その独善的で虚ろなる存在   龍の涙  
9  湯舟に聞く雨音かなし地に眠る母の聞いてる音かもしれず   江國 梓  
10 門松を外せる寒き夜にして 松がとれるという言葉良き   徳力 聖也  
11 来たる年耳順迎ふる年女ハチ公さながら聞く耳持たむ   円藤 ひとみ  
12 うつし世にとべない鳥は見あたらず人間だけがあきらめてゐる   宮崎 浩  
13 場違いな自分をいつしか忘れたりオペラグラスに竹原ピストル   光野 律子  
14 寒暖をふかく味わうお年玉切手シートと節分の間   久山 倫代
15 若死にの中将姫がつとのぞく鉢水にのびる蓮の葉影に   平井 啓子  
16 うさぎの名賛成多数で「ゆきちゃん」に忖度はなし収賄もなし   岩本 幸久  
17 皮膚呼吸できぬ火傷のような瞳で子どもをあやすロヒンギャの母   谷川 保子  
18 過ぎゆくはまたもひとつの一里塚あせること無しゆるり参ろう   五十嵐 満  
19 空蟬にひかりを溜めてまた零すやうな願ひを掬ぶ幾たびも   遠 音  
20 歌会用の一首が見つけためでたさは雪降るなかに浮かんだ初日   北辺 史郎  
21 黄金の光を浴びて市場から戻る小舟を待つ犬がいる   田中 亜紀子  
22 こんな僕ではなかつたなどと綴る日の空に耀ふスーパームーン   吉岡 健児  
23 鰈炊けば生々とした怒り去り母も静かに身をほぐしおり   遠藤 由季  
24 西行の初夢に出で我に問ふ「私は右に行くけど君は?」   夏目 たかし  
25 <麦わらの一味>は冒険しをるらむ自死をせし子の本棚の中   島本 千代子  
26 夕焼けをとじ込めている抽出に亀がなく日はかくれていたい   檜垣 実生  
27 ひさかたのクラウドに預けたる花を花の写真をかへしてほしい   鹿取 未放  
28 塩飛ばし刀振り回し酒散らしようやく魔の去るリングのお祓い   松坂 わかこ  
29 銅(あかがね)の柿の葉落ちて寒々と友のとほさの見えて来(きた)る日   浅野 祥子  
30 チューバッカのソックス履きたる男あり わが麦わら帽の消えて久しも   刀根 卓代  
31 生たまご床へと落ちて二秒半〈一時停止〉を神に押されて 割れた   平山 繁美  
32 おもてうら描いて隠して何処にもないホワイトボードを探してゐます   若槻 真美子  
33 ふくれっ面の餅をなだめて押さえつつ改憲論議を背中に聞きぬ   愛川 弘文  

posted by かりんネット歌会 at 10:32| 詠草一覧

2017年10月09日

秋のネット歌会 作者名発表です!

【秋のネット詠草一覧】
得票数の発表は10月9日(月)の正午以降を予定しております。

1 暗雲の耳を澄ませば聞え来る火遊び止めて話し合えよと
園田昭夫

2 雪の壁ようやく尽きぬ碧碧と澄みわたる宙光る槍ヶ岳
浅野裕之

3 鱧(はも)の澄まし作つて女子力上げやうと自ら言つてしまふ女子たち
江國梓

4 煙突の向こうの青は澄み渡り〈数字の歌〉のオノマトペ好し
平山繁美

5 生きたかった数多看取りし百五歳澄みし心で静かに逝くか
島本千代子

6 そこはとてもうつくしすぎてだれもだれも入れないからつらいのですね
柴崎宏子

7 天空の風の流れに舞ふ雲が夕日に向かひ火の鳥となる
梅原秀敏

8 子規庵の庭の隅なる古井戸の底に湧きたる水は澄むらむ
夏目たかし

9 藤村(とうそん)のにごり酒飲みおもへるは澄んだ水なり千曲川なり
円藤ひとみ

10 森に住むあおいカエルのその皮膜に包まれていたし我の心も
松坂わかこ

11 溝泥(どぶどろ)にまみれて終えし一世にも君が残せし澄んだ眼差し
五十嵐 満

12 音もなく夏と秋とがすれ違う残り香のなか朝の水飲む
田中亜紀子

13 朝夕の澄みたる空に昨日まで群れ飛ぶ燕消えて仕舞ひぬ
佐々木文昭

14 コンビニは蒼く澄みたる海のいろさがして欲しい水母のぼくを
檜垣実生

15 三浦路の夏を惜しみて遠き木に鳴く蜩の声澄み透る
齋藤康子

16 つやつやの茄子にフォークを刺すきはの澄み切るこころ冥くもちをり
若槻真美子

17 野薔薇の実の赤ひとつきみに届けたい 朝のペダルで風と奔りぬ
倖田祐水

18 スタンドに秋風を見る打ち上げたセンターフライ落ちてくるまで
細井誠治

19 はてしなく澄んだ光が降りそそぐ核戦争後ヒトなき星に
古志香

20 もういいかい 鬼の呼ぶ声夕空に澄みゆくまでの時 まあだだよ
東 洋子

21 青天に足裏(あうら)を浸すひいやりと朝の水屋にたたずむごとく
のつちえこ

22 棄てるあて無かった核ゴミ『限りなく透明に近いブルー』読みしころ
北辺史郎

23 ペロペロは苦手なんです澄んだ目の子犬を抱かず前足と握手
大石友子

24 濁りたる眼のままに日は暮れて目薬ひとつ買い求めたり
辻田裕美

25 「美しくてさわってしまう」美術館にADHDの少年
谷川保子

26 澄みし眼で夢見続けてゐた頃のこころ変はらず齢重ねる
吉岡健児

27 中華風鶏ガラスープ澄みたるを喉にすべらす晩夏の夜半に
渡辺泰徳

28 めんどくさい諸々なことをなげだしてトトロの森で昼寝するなり
橘まゆ

29 イマジンに浮かぶは若きヨーコとジョン七十年代澄んだ瞳(め)を恋ふ
浅野祥子

30 七つ八つ九重葛(ここのえかずら)咲く夜の夏のマーズは赫を競うか
岩本幸久

31 指先を棘が触るる痛点の濁りなきごと君と向きあふ
国府田祐人

※ (  )は、その前の語句のルビです。

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